NO.067 城山三郎『価格破壊』(角川文庫)
livedoorBOOKSで購入 楽天ブックスで購入 Amazonで購入 ISBN: 4041310067 |
この本は、ジャンルとしては経済小説である。読み進めていくと、ある企業の成長過程を思い描いてしまう。
主人公・矢口はフィリピンで九死に一生を得て、戦場から帰還したという体験の持ち主である。戦場での体験が彼の人生観の根底に流れている。
勤めていた会社を辞め、彼は安売りのクスリ屋を始める。「再販制度」という壁に立ち向かい、モノの値段は売る側に決める権利があり、全ての人が安くモノを買う権利があるのだという彼の店は、メーカーの圧力にも負けず、店舗数を伸ばしていく。そして、薬だけでは行き詰ると感じた彼は、化粧品、食品にまで取り扱い品目を増やし、そして、総合スーパーを誕生させた。
読んでいて驚嘆を覚えるのは、彼の人生哲学ともいうべき、「回転していないとモノは腐る」という持論。それが根底にあるからこそ、彼のスーパー「アロー」は急激な成長を遂げていくのも分かる。そして、販売力を背景に「価格破壊」を実行する力も手に入れる。
ただ、この「価格破壊」には底があると思うのはわたしだけだろうか? モノの値段は安くなっても、それがゼロになるということは絶対にありえない。安くなっても、絶対に限界があるはずだ。その限界に達した時、価格破壊はどこに行くのか?
価格破壊のその後はどうなるのだろう?
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